2020年度、小学校でプログラミング教育が必修化されました。2024年度には、大学入試共通テストで導入される「情報」の科目において、プログラミングが出題されることが決まっています。
しかし、「何年生からどのようなことを学ぶのか、家では何をすれば良いのか」といった具体的なことは、保護者にもまだあまり浸透していないようです。
本記事は次のような方に向けて、図解と合わせて分かりやすく解説します。
- 何年生から始まるの?
- プログラミング教育って何するの?
- そもそもプログラミングが分からない
プログラミング教育をまとめると次のとおりです。
- 対象は全学年
- 狙いは
- コンピュータを理解し上手に活用していく力を身に付けること
- 論理的思考力や創造力、問題解決力を育むこと
目的は「論理的思考力や創造力、問題解決力を育むこと」。
「プログラミング言語やプログラミングのスキルを身につけること」ではないのじゃ。
ふぅ…!安心した。
プログラミングなんて家で教えられないもんな。
でも、イマイチ理解できた気がしない…。
「プログラミング教育」について簡単に理解していきましょう。
小学1年生からはじまるプログラミング教育
「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」によると、プログラミング教育の対象は全学年。
つまり、小学1年生からプログラミング教育がはじまるのです。
息子の通う小学校では、1年生の11月頃からロボットとタブレットを使ったプログラミング教育がはじまりました。
ロボットに「曲がれ」ってお願いしたら曲がったんだよ!
プログラミング教育は算数、理科、総合的な学習の時間といった授業を中心にして、さまざまな授業を通して実施されることが目指されています。
「プログラミング」という教科が増えるわけではないのです。
4年生以上にはクラブ活動(特別活動)の時間に取り組むことも想定されていますが、どの学年の、どの教科で、どのぐらいの時間をかけて実施するのか、具体的には各学校が考えることになっています。
プログラミング教育とは何か
私たちの生活の中には、昔と比べてはるかに多くのシステムが溢れています。
例えば、「スマートフォン」や「グーグルマップ」を当たり前のように使い、10年前にはなかった「QRコード決済」により支払いが便利になりました。
現代の子どもたちは、これからますます加速するIT社会で、その進化の速度に合わせて生き抜いていかなければなりません。
「プログラミング教育」は、子どもたちひとりひとりがIT社会とうまく付き合うための基礎をつくる教育です。
プログラミング教育の狙い
- コンピュータを理解し上手に活用していく力を身に付けること
- 論理的思考力や創造力、問題解決力を育むこと
プログラミング教育必修化の流れ
現在、学校教育ではプログラミング教育が必修となっています。
年 | 学校 | 内容 |
---|---|---|
2020年度 | 小学校 | プログラミング教育が必修化 |
2021年度 | 中学校 | プログラミング教育が「技術・家庭」科目の一部として必修化 |
2022年度 | 高等学校 | 「情報Ⅰ」が新設され、プログラミングを含む情報システム科目が必修化 |
2024年度 | 大学 | 大学の共通テストに「情報」が新設され、受験の必要科目となる |
「プログラミング」と聞くと難しそうに思えますが、プログラミング教育とは実際にどのようなことを学ぶのでしょうか。
プログラミングはコンピュータへのお願い
プログラミングとは、プログラミング言語やツールを使って、コンピュータを動かすための指示書(プログラム)を作ることです。
コンピュータは空気を読んだり、意図をくみ取ったりすることができないため、必要な動作を順序良く具体的に、また、正確に指示する必要があります。
例えば、次の絵でスタートからゴールまでロボットを進めるためにはどのような指示を出しますか?
「まっすぐ進んで、左に曲がる」と指示をしませんでしたか?
それではロボットには伝わりません。
「前に●●歩進み、左に90度曲がり、前に●●歩進む」のように、具体的に指示をする必要があるのです。
小学校のプログラミング教育ではどんなことをするの?
プログラミング教育の具体的な内容は各学校で考えることになっていますが、どんなことをするのか気になりますよね。
文部科学省が出している「小学校プログラミング教育に関する研修教材」で使われている教材や、実際の教育現場で使われている教材を見ていきましょう。
Scratch(スクラッチ)
Scratch(スクラッチ)はアメリカの有名な大学、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボで開発されたビジュアルプログラミング言語です。
ブロックをつなげていくだけでプログラミングすることができて、アニメーション、ゲーム、プレゼンテーションなど自由につくることができ、作品を世界に公開できる場も用意されています。
「子どもたちがかんたんに楽しく学習できる」ことを何よりも優先させて作られていますので、子どもから大人まで楽しく作品を作ることができます。
mBlock(エムブロック)
mBlock(エムブロック)はScratch言語をベースにしたビジュアルプログラミング言語。
ロボットや電子機器を制御するための機能も備えています。たとえば、mBotと呼ばれるロボットを制御するためのブロックが用意されており、mBotを動かすプログラムを簡単に作成することができます。また、Arduinoボードを使った電子工作もできます。
プログラムの実行中にセンサーからの入力を受け取ったり、LEDライトを点滅させたりすることもできます。
mBlockは、教育現場で広く使用されており、プログラミングやロボット制御を学ぶのに良いですし、用意されているキャラクター(スプライト)が可愛くて、背景なども色鮮やかでおしゃれなものが揃っています。
Viscuit(ビスケット)
Viscuit(ビスケット)は、日本で開発されたビジュアルプログラミング言語です。
メガネという仕組みを使って直感的に操作でき、単純なプログラムから複雑なプログラムまでつくることができます。難しいルールがないので、子どもでもわかりやすく、遊びの延長でプログラミングを学ぶことができます。
小学校1~2年生で採用されることが多いです。
プログラミングロボットTrueTrue(トゥルートゥルー)
トゥルートゥルーは、手のひらサイズのかわいいロボットで、机の上でも動かせるサイズです。
29種類の指示が書かれたコマンドカードを、ロボットに指し込んで指示を読み込ませて動きをプログラミングするタイプで、パソコンがなくても動かせます。
プログラミング方法は簡単。
「前に進め」「右に曲がれ」など29種類の指示が書かれたコマンドカードを並べてプログラムを作り、ロボットの口にカードを順番に差し込むだけで、指示通りに動きます。光らせたり、音を鳴らすこともできるので、小さい子どもから楽しめます。
PCやタブレットと無線接続し、プログラミングを行うこともできます。Scratchでプログラミングできるアプリケーションも用意されています。
小学校1~2年生で採用されることが多いです。
小学生からプログラミングを学んで将来の選択肢を広げる
2020年度から必修化された小学校でのプログラミング教育。
「プログラミング」という教科ができるのではなく、今ある授業にプログラミングを取り入れ、活用します。
小学生のうちからプログラミングを学ぶことで、これからのIT化社会に適応できるスキルを身に付け、将来の選択肢を広げられるでしょう。